大腸がん検診とは?
大腸がん検診とは、大腸(下部消化管)を検査することによって、主に大腸がん(さらには大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎などの)リスクを調べる検査コースの総称です。大腸がん(結腸がん+直腸がん)は、がんの部位別死亡数では2位と、肺がん、胃がんとともに多くみられるがん種です。その疾患リスクの早期発見は、受診者や家族はもとより社会的にも大きな意味を持っています。
実際の大腸がん検診では、便潜血反応検査(2日法)や下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)などが実施されます。また昨今は、大腸CT検査(大腸3D-CT検査)を実施する健診施設もみられはじめています。
受診費用
大腸がん検診にかかる費用はおよそ1千円~3万円
施設やコースによりますが、大腸がん検診の費用は1,000〜3万円が相場です。どの検査を選ぶかによって費用は大きく変わってくるため、どのコースが適切かは受診予定の医療機関に問い合わせてみるとよいでしょう。
大腸がん検診の代表的とされる便潜血反応検査(2日法)は、検査の相場は1,000円程度です。検査の注意点としては、痔と間違われる要素を減らすために検体を2回提出することが一般的です。
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は、費用の相場として2万円台が一般的です。
住民健診や検診で無料もしくは安い金額で検診を受けることも可能
便潜血検査は市区町村による住民健診や職場での検診を受けることもでき、自己負担額はそれぞれ異なります。たとえば、40歳以上は数百円、70歳以上の場合や住民税非課税世帯に属する場合は検診費用が無料となる自治体もあります。詳しくは各自治体のがん検診ホームページ、またはがん検診窓口へ問い合わせてみてください。
検査の必要性
人間ドックや健康診断でも実施されているが、詳しく知るためには大腸がん検診を
大腸がんは、一般的なイメージよりも頻発する「がん」かもしれません。いうまでもなく日本における死因1位はがんですが、部位別死亡数でいえば、肺がん・大腸がん・胃がんの順番です。しかも、女性にとっては、がんの部位別死亡数トップが「大腸がん」なのです(男性では3位)。
ただし、大腸がんは早期発見によって治癒の可能性が高まるがんともいわれるため、大腸がん検診について詳しく知っておくことが重要といえるでしょう。基本的な「便潜血反応検査」は、スタンダードな人間ドックであれば必ずといってよいほど検査項目に設定されています。
検査内容
施設や受診コースによって異なる
大腸がんの一次検診では、「便潜血検査」・「直腸診」などが行われています。コース内容を今の健康状態や年齢と照らし合わせて、必要な検査を見極めるようにしましょう。
便潜血検査(化学法・免疫法) |
大腸内のがん組織はもろいため、がんがある部分を便が通過する際に刺激を受け容易に出血します。この便に混じったわずかな血液を検査する方法が便潜血検査で、血液中に存在するヘモグロビンというタンパク質を検出します。
専用の容器に便を少しつけて提出し、便のなかに血液が混ざっていないかどうかを調べます。 |
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直腸診(直腸指診) |
肛門から触診によって直腸にしこりがないかどうかを確認します。 ベッドに横になって緊張せずにリラックスしましょう。 肛門から近い直腸部分にがんがある場合に直腸診は有用です。 |
便潜血検査で陽性が出てしまった場合 |
便潜血検査が陽性となるのは大腸がんだけではありません。便が体外に出るまでのどこかで出血している部位に触れると陽性反応を示すため、痔のような出血でも陽性反応が出ることもあります。 |
予約〜検査
大腸がん検診検査前日
準備 |
便潜血2日法の場合、検査当日を含む3日以内の便を提出します。そのため、連続する3日間のうち1日1回・2日間の便をとる必要があります。なかには便秘がちで毎日は便通がないという方がいるかと思いますが、3日間で排便ができないときは、最初に取った便を冷蔵庫で保管しておきましょう。室温が高いところへ便を保管しておくと、ヘモグロビンが変性(タンパク質の構造が壊れること)してしまい正しい結果が得られなくなります。便を冷蔵庫に保管することに抵抗がある方は、直射日光を避けた25℃以下の涼しい場所で保管します。 採便は1日のみの提出でも構いませんが、出血は継続的ではないため、1日分では検査結果の精度は下がります。なるべくは2日分提出するようにしましょう。 また女性の方は、生理中は採便できません。生理期間中に検査が重なる場合、生理終了後2~3日間を空けて検査を行うようにしてください。 直腸診(直腸指診)の場合、消化に時間のかかる食べ物の摂取は避け、水分(水・お茶)は多めに摂るようにしてください。 |
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大腸がん検診検査当日
問診 | 当日摂取できるのは水分(水・お茶)のみで、食事、喫煙はできません。 |
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時間 | 検査内容によって異なります。 |
大腸がん検診終了後
時間 | 2~3週間後に郵送 ※受診クリニックによって検査結果期間・結果報告方法は異なります。 |
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選び方
大腸カメラを設定している検査コース
大腸がん検診には、さまざまな検査がありますが、大腸がんリスクについてはっきりと把握しておきたいと考える場合、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ、下部消化管内視鏡検査)」の受診は必須です。いわゆる「大腸がんドック」と呼ばれる検査コースの多くは、大腸内視鏡検査を検査項目として備えています。
ただし、上部消化管(食道・胃・十二指腸)をチェックする胃がん検診(あるいは消化器ドック)などと比べると、大腸がんドックの設定が少ないことも事実です。医療機関の一覧から設定の有無を探してみましょう。
大腸がんに関する知見・内視鏡検査の経験
大腸関連の疾患について知見を持つ医師が検査にあたるかどうかもポイントです。知見を持ち、内視鏡検査に精通している医師であるほど、受診者への負担が少ない形で疾患リスクを発見したり、必要があればポリープ切除などの処置にも迅速に切り替えることができるでしょう。
こうした医療機関の特質は、医療機関の情報ページやオフィシャルサイトに掲載されている場合があります。受診する際には医療機関の情報をチェックしてみましょう。
この記事の監修ドクター
【略歴】
1995年 和歌山県立医科大学 卒業
1995年 岸和田徳洲会病院
2001年 和帯広第一病院
2004年 東大阪徳洲会病院 院長就任
2009年 西宮ファミリークリニック 開院
【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医