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人間ドック前日の食事は?お酒や運動など検査前日の注意点

監修ドクター

この記事の監修

日野市立病院 

人間ドックとは、今の自分が健康であるかどうかを確認するための定期チェック。だからこそ、普段通りの食事や生活習慣で受診するのが正解ではあります。しかし、正しい検査結果を得るために注意すべきポイントがいくつかあります。

最近では、リモートワークを終えたらおつかれさまの一杯、なんて方が増えたかも。でも明日が人間ドックだったら、ちょっと待ってください!お酒や食事についての注意点をまとめて解説します。

目次
  1. 受診前に注意すべき5つのポイント
  2. 内視鏡検査を受ける方の注意事項
  3. 前日は早めの就寝を心がけましょう
  4. まとめ|人間ドックの前はしっかり備えましょう

受診前に注意すべき5つのポイント

人間ドックの受診前は、以下の5つの点に注意しましょう。

  1. 前日の食事は普段通り、時間は受診施設からの指示を守る。お酒も前日は控えるのが望ましい。
  2. 肝機能検査に影響するため、運動は控え目にすること。
  3. 常用している薬がある場合は事前に受診施設に相談を。
  4. 当日の体調によっては受診日の変更も検討する。
  5. 検尿、検便の検査は事前にしっかり確認を。

では、それぞれに解説していきます。

注意点1. 食事、お酒

基本的にいつも通りの食事で問題ありません。しかし、消化器内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を受ける場合には、多少制限があります。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)の場合、前日までは通常と同じ食事内容でもよいのですが、便秘気味の方は前日は消化の良い食事を摂り、早めの就寝を心がけましょう。そうすることで、胃の内容物の排泄を促すことができます。

大腸カメラ(大腸ファイバー/下部消化管内視鏡検査)の場合、前日就寝前の下剤内服と検査当日の消化管洗浄液を飲む必要があります。さらに、検査前日に避けるべき数種類の食材もあります。詳しくは後述します。

またお酒に関しては、肝機能や血糖、尿酸などさまざまな検査に影響する恐れがありますので、できれば摂取しないほうがよいでしょう。

注意点2. 運動

受診前に、過度の運動や、体力を消耗する重労働を行った人は、そのことを申告しておいた方がよいでしょう。筋肉に過度の負担がかかる運動は、筋肉由来のCK(CPK)という酵素が高値を示す場合があり、横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)と鑑別しなければなりません。

また、肝機能の指標とされるAST(GOT)やLDHは筋肉からも出てくるため、肝機能障害と判断されてしまう場合もあるため注意が必要です。(現実的には、受診前日や前々日にフルマラソンでもしない限り、それほど心配はないともいわれています。)

注意点3. 常用内服薬

常用内服薬は、すべて受診施設へ申告をしましょう。その情報をもとに血圧や血糖値、甲状腺機能などに関するデータの修正を行います。前日までの常用薬服用の制約はありませんが、検査当日は投与を禁止する施設もあります。施設に相談し、指示に従ってください。

特に糖尿病の人で検査当日の朝食が禁じられている場合は、血糖降下剤の内服やインスリン注射は低血糖を招くおそれがあるため、投与を控えなければなりません。

注意点4. 検査当日の体調

もし、受診当日までに風邪を引いたりけがをしたりした場合、事前に施設へ相談することが推奨されます。新たに受診日を設定し直すこともありますし、軽度であればそのまま受診する場合もあるでしょう。

いずれにせよ、人間ドックはあなたの日常の健康状態を知ることが目的です。体調不良や病的状態での人間ドックは意味がありませんので、まずは施設に相談するようにしましょう。

注意点5. 検尿、検便について

便検査は通常2日間の大便を検査します。検尿に関しては、朝、起床後の中間尿(出始めの尿ではなく、途中の尿)を提出することが求められる場合がありますので、施設の指示に従いましょう。

内視鏡検査を受ける方の注意事項

内視鏡検査受診前の注意事項

事前に施設側から指示を受けるべき項目として、次のようなものがあります。

  1. 血液をさらさらにするとされる「抗凝固薬」を飲んでいる人
  2. 緑内障・心疾患(不整脈・高血圧を含む)・前立腺肥大・糖尿病の人
  3. 歯の治療など、麻酔で気分が悪くなったことのある人
  4. 精神安定剤や抗うつ薬、睡眠薬を常用されている人
  5. 透析中の人

上記にあてはまる方は、事前に受診施設に申し出るようにしてください。

 

(1) 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受診する方

胃カメラを受ける人は、前日の食事は通常で構いませんが早めの就寝をおすすめします。可能であれば、21時までに横になるようにしましょう。

また、検査医が粘膜面の十分な観察ができるよう麻酔を使用している施設の場合、検査当日の自動車・二輪車の運転は絶対に避けてください。検査後に十分な休息時間を取れるよう、あらかじめ午後の予定は空けておきましょう。

検査当日は飲水のみで、朝食は食べることができません。ミルクやジュース類も避けましょう。特に柑橘系のジュースは胃液の分泌を進行させるため、おすすめできません。

(2) 大腸カメラ(大腸ファイバー/下部消化管内視鏡検査)を受診する方

大腸ファイバーを行う前は、大腸の中を空にしておくために下剤(腸管洗浄剤)を飲む必要があります。

そのため、検査前日は脂肪分や繊維質の多い食事(海藻や野菜など)、種(タネ)のある果物などは避けるようにしましょう。

検査前日に食べてはいけないもの
脂肪や繊維が多いもの ゴマ、ナッツ類、豆類、タケノコ、ごぼう、ほうれん草、にんじん、キャベツ、セロリ、レタス、トマト、玉ねぎ、ネギ、ニセ、小松菜など
海藻類(ワカメ、昆布、ひじき、めかぶ、もずくなど)
種のある果物 キウイ、ミカン、スイカ、柿など

前日は繊維質のない消化の良い食事を推奨します。そういった食事を販売している施設もあるので、受診する施設で相談してみてください。

前日は早めの就寝を心がけましょう

人間ドックはあなたが健康であるかを確認するための検査です。原則として、前日の禁止事項や注意事項はなく、食事の内容を変更する必要もないため、受診前日までは通常の食事を取り、いつも通りの生活を行いましょう。

しかし、人間ドックの前日の過ごし方に細かい制限がある施設もあります。たとえば特殊な薬剤の使用や透析を受けている方、下部消化管内視鏡検査(大腸ファイバー)を受ける方は、別途指示を受ける必要があります。投薬や処置が必要な場合もかかりつけの医師に相談の上、指示に従うようにしましょう。

検査前日はできるだけ早めに就寝し、十分な就寝時間を取ることをおすすめします。受診当日は原則、水以外は口にしてはいけないことも認識しておきましょう。

まとめ|人間ドックの前はしっかり備えましょう

今回は、人間ドック受診前日の一般的な注意点をご紹介しました。実際は、今回取り上げたこと以外にも、施設や検査コースによってさまざまな指示が考えられます。

たとえば、MRI検査では、強力な磁気にさらされるため、撮影直前に時計やヘアピンなど磁力感受性のある金属類を外さなければならなかったり、PET検査も放射線同位元素を投与しますので、細かい指示に従う必要があります。

私たちが健康に生きるために必要なのは「食事」「運動」、そして「健診」です。「健診」は、車でいえば、これからも今まで通りに走れるのかをチェックする「車検」です。人間ドック前日の準備について正しく理解し、来たるべきその日に備えましょう。

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