人間ドック 選び方

人間ドック

人間ドックの選び方|年代別の受けておきたい検査と施設を選ぶポイント

栄エンゼルクリニック 水野芳樹 医師

この記事の監修ドクター

栄エンゼルクリニック 院長
水野芳樹

【略歴】
1985年 名古屋市立大学医学部 卒業
2010年 医療法人士正会 理事就任

【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医

人間ドックは健康診断の検査項目をはるかに上回ります。そのぶんだけ、体の健康状態を多角的に知ることができるのですが、初めて受ける人はどの検査を受けるべきなのか迷う人も多いでしょう。また、項目が増えれば増えるだけかかる費用も高額になるため、安易に決められるようなものでもありません。

人間ドックの検査項目は、性別や年代により推奨されるものがオプションとして設定されています。自身の年代や生活に合わせた検査項目を選んでいきましょう。

目次
  1. 人間ドックと健康診断の違い
  2. そもそも人間ドックは受けた方がよい?(人間ドックの必要性)
  3. 人間ドックの検査項目と施設の選び方のポイント
  4. 人間ドックはどれくらいの頻度で受けるべき?
  5. まとめ:自分に合わせた検査項目や施設を選び、隠れている病気の芽を摘もう

人間ドックと健康診断の違い

人間ドックの検査項目の選び方の前に、人間ドックと健康診断の違いについて、知っておきましょう。

健康診断は、「労働安全衛生法66条」で実施が義務付けられているものです。一方、人間ドックはあくまで個人が自分の意思で受けるもので、義務ではありません。詳しくは、「人間ドックと健康診断の違い|検査項目の種類やオプション検査のこと」を参照ください。

そもそも人間ドックは受けた方がよい?(人間ドックの必要性)

厚生労働省『令和元年(2019)人口動態統計』によると、日本人の死亡原因の第1位はがん、第2位は心疾患、第3位は老衰、第4位は脳血管疾患となっています。中でもがんに関しては2019年の全死亡者に占める割合が27.3%で、全死亡者のおよそ3人に1人はがんで死亡する計算です。

人間ドックは、健康診断に比べると、より詳細に生活習慣病について調べることができ、日本で死亡者数の多いがんの早期発見にも注力しています。食生活の変化により30代でも生活習慣病が発症している昨今、疾病リスクが高まる40代を超えたら、健康診断だけではなく、人間ドックも受診した方がよいでしょう。

人間ドックの検査項目と施設の選び方のポイント

ここでは、人間ドックを受けるポイントをいくつか紹介します。

年代や性別で、検査項目を選ぶ

年代や性別、生活環境などによって健康のリスクは変化します。その時々の条件に合わせた検査項目と検査の詳細についてまとめてみましたので、検査項目を選ぶ参考にしてください。

30代:家庭や仕事において責任が増す年代です。将来の生活習慣病に注意しましょう。
男女共通
  • 上部消化管X線検査、上部消化管内視鏡検査
    • 死因上位の胃がんを早期発見する検査
    • 早期がんで発見可能なら、ほぼ100%の生存率
    • 可能なら精度の高い内視鏡検査の選ぶ
    • 追加のピロリ菌検査で、陽性なら除菌治療を行う
    • 費用相場:10,000~15,000円
女性
  • マンモグラフィー、乳腺超音波検査
    • 乳がんの早期発見を目的とする検査
    • 乳がんは若い時期から発症が見られるため是非やっておくべき検査
    • 乳腺組織の多い若い女性は乳腺超音波検査か併用受診を推奨
    • 費用相場:10,000円
  • 子宮頚がん細胞診検査
    • 子宮頸がんの早期発見を目的とする検査
    • 定期的に実施していれば、早期発見の可能性高い
    • 予防のために宮頸がんワクチンが有効
40代:生活習慣病が気になり始め、疾患のリスクも高まる年代です。
男女共通
  • 胸部CT検査
    • 喫煙者に多い慢性閉そく性肺疾患(COPD)の早期の診断可能
    • 胸部CT検査は胸部X線検査より肺がん発見精度が高い
    • 費用相場:15,000~20,000円(胸部CT検査)
  • 大腸内視鏡検査
    • 大腸がんの検査
    • 近親者に大腸がんの人がいる場合は受診を推奨
    • 50歳までには1度大腸内視鏡検査を実施し、ポリープができやすい体質か調べ、できやすい人は、1~2年ごとに、ポリープのない人は、4~5年ごとに大腸内視鏡検査を行う。その間は毎年、便潜血反応検査でチェックし、陽性の時は必ず、大腸内視鏡検査をうける
    • 費用相場:20,000~30,000円
女性
  • マンモグラフィー、乳腺超音波検査
    • 乳がんの早期発見を目的とする検査
    • 乳がんは若い時期から発症が見られるため是非やっておくべき検査
    • 乳腺組織の多い若い女性は乳腺超音波検査か併用受診を推奨
    • 費用相場:10,000円
  • 子宮頚がん細胞診検査
    • 子宮頸がんの早期発見を目的とする検査
    • 定期的に実施していれば、早期発見の可能性高い
    • 予防のために宮頸がんワクチンが有効
50代:がん、心疾患、脳血管疾患の3大疾病のリスクにさらに注意が必要な年代です。
男女共通
  • 上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、胸部CT、腹部CT
  • 腫瘍マーカー(血液検査)
    • 男性PSAは、前立腺がんの検査のこと
    • 女性CA125は、卵巣がんの検査のこと
    • 費用相場:2,000~3,000円(1種類あたり)
  • 頭部MRI検査
    • 脳動脈瘤や脳梗塞などの脳の疾患発見を目的とする検査
    • 50歳台で、一度検査を受け、所見あれば1~2年で経過観察し、異状なければ2~4年ごとに検査する
    • 費用相場:25,000~30,000円
  • 動脈硬化検査
女性
  • 骨密度
60代:がんや生活習慣病の進行の可能あり、症状なくても健康な体で長生きするために、特定の部位だけではなく、年に一度は全身の健康状態をチェックしましょう。各年代の推奨検査はもとより、加齢による心臓疾患、動脈硬化、骨粗鬆症の検査も加えることをお勧めします。
男女共通
  • 心エコー(超音波検査)
    • 心臓肥大や心筋の肥厚、心臓の弁の異常(狭窄や閉鎖不全)の検査
    • 高血圧、喫煙者の方は注意
    • 費用相場:10,000円

検査内容や設備、費用から施設を選ぶ

人間ドックは、検査項目だけではなく、施設の選び方にもポイントがあります。健診内容の相談に親切に対応してもらえる施設を選ぶ必要な検査は全身に及ぶため、各検査を多数の施設で実施するより、1つの施設で実施した方が良い(施設により実施していない検査は勧めないのが通例のため、できない検査は、漏れがないように他施設で実施する)

前回の結果と比較できるよう、毎回、同じ施設を選ぶ

人間ドックは1回受診すれば安心、というわけではありません。定期的に受診してその時点での健康状態を確認するとともに、これまでの結果との比較から、より早いタイミングでリスクを把握することが大切です。そうすることで、医師から継続的なアドバイスを得ることができるでしょう。

再検査や二次精密検査になった時の対応状況も考えて施設を選ぶ

再検査や二次精密検査の判定が見つかることも少なくありません。1~6か月の経過観察後の「再検査」が容易に実施可能な施設や、「二次精密検査」となると、最近は高度医療機器が必要な病院に受診する必要もありますが、複数の項目に対して、各々異なる病院に受診が必要になり大変ですので、健診施設である程度までの精密検査が可能な施設の方が、利便性もあり、また医療レベルが高いと考えられます。

日本人間ドック学会が認定した施設を選ぶ

日本人間ドック学会が定める、「機能評価認定施設」、日本総合健診医学会が定める「優良総合健診施設」。この2つの組織からこのような評価がされている施設があります。人間ドックの質や水準を示す一つの指標になるでしょう。

信頼ができ、検査を受けやすい場所を選ぶ

自宅や職場から近い施設を選ぶことは、定期的に受診する機会につながります。また、万が一疾患が発見された場合、施設がその疾患にふさわしい医師を紹介してくれるかも大切なポイントです。

人間ドックはどれくらいの頻度で受けるべき?

基本的に、人間ドックは1年に1度は受診した方がよいでしょう。なぜなら、1年間の身体の変化を把握することができるからです。しかし、人間ドックは検査項目により、推奨される検査頻度が異なります。1年に1度、2年に1度の検査でも問題ない検査項目を把握し、効率的な健康管理をしていきましょう。

特に1年に1度の検査が推奨されるもの

  • 上部消化管内視鏡検査
  • 便潜血反応検査
  • 男性のPSA検査
  • 女性の乳がん検診(マンモグラフィー、乳腺超音波検査)

2年に1度の検査が推奨されるもの

  • 頭部MRA検査
  • 胸部CT検査
  • 子宮頸がん細胞診

まとめ:自分に合わせた検査項目や施設を選び、隠れている病気の芽を摘もう

人間ドックはできれば1年に1度、健康に自信がある人でも2年に1度は受診した方がよいと考えられています。人間ドックを受診する際は、その後の生活習慣を見直せる材料や思わぬ疾患の発見につながるよう、自身の年代や生活に合わせた検査項目を選ぶようにしましょう。そうすることで、自分自身の健康状態がより明らかになるはずです。

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