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白金坂の上診療所インタビュー
日々お仕事などに追われている受診者のメンテナンスの一環として人間ドックやがんドックを活用していただきたいです
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【Dr.インタビュー】院長:井上 幸彦 先生
がんドックにPET(陽電子放射線断層撮影装置)-コンピューター断層撮影(CT)を導入することで、身体の広い範囲を一度にスクリーニングを行い、病気の早期発見・早期治療に貢献しております。特に日頃から、お仕事で忙しかったり家庭のことに追われていたりする方のような、ご自身の健康をチェックする機会がない方にこそ、致死的な病気につながらないようにメンテナンスの一環として人間ドックやがんドックをうまく活用していただき、自身の身体の現状をぜひ知っていただきたいです。
昨今注目度が増している「予防医学」の重要性について貴院のお考えをお聞かせ願います。
私も含め自分の身体を知ることに検診の意義があります。車でも結局故障をするため、安全に乗るためにどうするか、未然に防ぐか試行錯誤をしているのと同じで人間の身体も故障はします。そのため、どうメンテナンスを行うのかが重要になります。また、検査で異常値が出たときの比較材料として自分の正常値を知っていることは非常に大事で定期的に検診を受けることで、いつもとちょっと違うときにいち早く察知できると思っています。
受診される方のプロフィルや見つかりやすい疾患リスクの傾向などがあれば教えてください。
最近では、当院の近隣にもタワーマンションが増え、若い世代の方が多くなってきていると感じています。特に、お子さまを含めた核家族が郊外からこのエリアに流れてきている印象です。また、この若い世代の働き盛りの方たちには、お仕事などで無理をされている方が多く、接待などでアルコールにより肝臓を傷めていらっしゃる方もいらっしゃいます。
人間ドックの受診を推奨する年代や受診頻度の目安などがあればお話をお聞かせください。
一言で人間ドックと言ってもきりがないため、どこにターゲットを置くかということになると思います。会社で働いていらっしゃる方は、年に1回の検診を受けられているため、それをベースにオプションで脳ドックやがん検診などを節目に受けていただき、消化管系統は2、3年に1回受けることをおススメします。また、女性は更年期などもあるため、症状に合わせた検査もプラスで受けていただくのも良いと思います。
PET-CTの検査方法や特徴について、詳しく教えていただけますでしょうか?
名前の通り、PETとCTを組み合わせた医療機器になります。がん細胞は、糖を非常に消費するという特性を持っていることから、がん細胞に集積する性質を持つ薬品を静脈に注射し、CTにより頭の先から足の先までを切って撮影することでがんの疑いがある場所を詳細に見ることが可能です。また、PETとCTの撮影が一度にできることで検査時間の短縮もできます。
PET-CT検査は、どのような身体の部位に有能な検査なのでしょうか?詳しく教えてください。
PET-CT検査では、頭部から骨盤までの広い範囲を一度にスクリーニングでき、がんだけではなく細胞の活動の様子を確認するのに非常に有効な検査でありますが、代謝の良い場所には不向きであり、尿路系、前立腺、腎臓、肝臓などのリスクの発見が難しい部位もあります。全身を浅く広く、くまなく検査を行うときに高い作用を発揮します。
総合がんドックコースに含まれる「Lox-index®(ロックスインデックス)」について詳しくお話をお聞かせください。
Lox-index®(ロックスインデックス)は、血管の動脈硬化のリスクを知る一つの手だてになります。この検査は、動脈硬化に関連する変性LDLとLOX-1の二つの物質を調べる血液検査であり、がんと並んで三大疾患に数えられる脳血管、心臓血管、血管系のトラブルに関する数値をグラフ化することでリスクを判定し、そのリスクファクターを4段階で示すことができます。
MCIスクリーニング検査の特徴と認知症予防に対する考えについてお話を詳しくお聞かせください。
MCTとは軽度の認知症を発見する方法ですが、この検査だけでは現状なかなか認知症を予測することは難しいため、その他の有効な検査の一つとしてMCIを活用しております。アミロイドベータペプチドというたんぱく質が神経細胞に付着してしまうと伝達が悪くなり、炎症が起きると言われておりますが、アミロイドベータペプチド自身を計ることは難しいため、それを分解する三つのたんぱく質を間接的に検査することになります。
認知症を予防することは、現段階では非常に難しいことなのでしょうか?
先ほどのように当院では、MCIスクリーニング検査などを行っておりますが、認知症の予防は今の医療レベルではまだまだ難しい段階にあります。そのため、付随する糖尿病をお持ちの方やそのほかの生活習慣病をお持ちの方がいらっしゃれば、その病気をうまくコントロールすることが認知症予防にもつながるというのが現代の認知症予防の主流であると言えます。
総合がんドックコースの一環として「栄養解析」を行うことの意義について詳しく教えてください。
受診者ご自身の生活スタイルが今のままで良いのかどうかを考えていただく検査になるため、普段検査する採血より項目が多いです。普段の食事の中で、タンパク質が足りなかったり、アルコールを摂取する方にはある数値が下がるという傾向があるため、それを下げないように例えば肝臓にはビタミンB系を補充してあげることで肝臓の保護を行うなど、異常を見つけるというよりご自身の身体を知っていただく検査になります。
検査結果は、受診日当日に説明を受けることは可能でしょうか?また、説明の際に意識している点はありますか?
検査結果の説明は、当日結果が分かるものに関しては、当日お話をさせていただきます。当日分からないものに関しては、お時間をいただき検査結果表を約3週間後に受診者のお手元に届くように郵送させていただいております。また、結果説明を行うときには、事前にご記入いただく問診票を参考に、受診者が日頃から気にされていることなどを中心に意識して説明を行います。
検診により何か異常が発見された場合のフォローアップ体制についてお話をお聞かせください。
病気ということは、保険診療の対象となってくるため、例えばがんを疑うということであれば詳細な検査である磁気共鳴画像装置(MRI)など付随する検査を当院で行う場合もありますし、近隣の医療施設に依頼するなど、スケジュールを組んでトータルで受診者をみるようにしています。また、ご家族も含めて行きやすい病院や、受診者ご自身が行き慣れている病院などがあれば優先的に紹介状を書かせていただきますので、ご相談いただければと思います。
人間ドック・検診にかける先生の熱い想いについて語っていただければと思います。
人間ドックや検診は病気を早期に発見するためではなく、致死的な病気につながらないようにメンテナンスを行う大切な機会です。病気になってから医療機関にかかるのも大事ですが、普段のメンテナンスの一環で人間ドックをうまく利用していただくのが良いと思います。また、万が一検診で何か見つかった場合には、食生活を見直したり、運動を始めたりなど何か新しいことを試して、ご自身の身体について一度振り返っていただきたいです。