20代女性に必要な人間ドック|乳がんや子宮頸がんリスクに備えた早めの検診を

人間ドック

20代女性に必要な人間ドック|乳がんや子宮頸がんリスクに備えた早めの検診を

栄エンゼルクリニック 水野芳樹 医師

この記事の監修ドクター

栄エンゼルクリニック 院長
水野芳樹

【略歴】
1985年 名古屋市立大学医学部 卒業
2010年 医療法人士正会 理事就任

【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医

「身近な人が乳がんにかかり、自分も大丈夫か不安になった」
「将来妊娠を考えているけれど、何をすればいいのかわからない」

20代になると、結婚や妊娠、出産がより身近になり自分の事として考える機会が増えてきます。結婚などのライフステージの変化に備え、若いうちから自身の健康に気を配ることが大切です。

健康管理の手段の一つが人間ドックです。女性向けの婦人検診がセットになったレディースドックでは乳がんや子宮頸がんといった女性が気になる病気のリスクについて検査することができます。

今回は、20代女性にとって人間ドックは必要なのか、レディースドックの検査内容や必要性を解説していきます。

目次
  1. 20代女性にとって人間ドックは必要?
  2. レディースドックは人間ドック+婦人検診のセット
  3. レディースドックの検査費用は3〜10万円程度
  4. まとめ:人間ドックを活用し20代でも健康状態の把握を

20代女性にとって人間ドックは必要?

人間ドックの疑問

20代は就職、キャリアアップ、結婚、妊娠や出産など、ライフスタイルが大きく変化する年代です。もちろん、そのタイミングは人それぞれですが、将来を見据え、20代のうちから自身の健康状態を知っておくことが大切です。

「毎年、健康診断を受けているから大丈夫」と思っても、健康診断で検査する項目は限られています。子宮筋腫、子宮内膜症、乳がん、子宮頸がんなどは、20〜30代の若い女性にも多い病気ですが、これらの検査は健康診断の基本検査には含まれていません。

オプション検査を追加したり、より詳しい人間ドックを受けるなど、自分で必要な検査を選択する必要があります。

そこで、20代女性にとって1つの選択肢にあがるのが、レディースドックです。レディースドックとは、人間ドックと婦人検診がセットになった検査を指し、若い女性でも受診しておきたい乳がん検診や子宮頸がん検診といった検査が含まれます。

では、レディースドックとはどのような検査を受けられるのでしょうか。ここからは、具体的な検査内容や検査費用などについて見ていきます。

レディースドックは人間ドック+婦人検診のセット

人間ドック女性検診

人間ドックは病院やクリニックなどで受診できますが、医療機関によってはレディースドックが用意されていることもあります。

20代のうちは人間ドック自体に馴染みがなく、受診の機会は少ないかもしれません。しかし、子宮頸がんは20代でも発症することもあり、検診による早期発見が肝心です。そこで、レディースドックの受診が選択肢にあがります。

レディースドックでは、一般的な人間ドックに加え、乳がん検診や子宮頸がん検診といった婦人検診の受診が可能です。結婚や出産といった今後のライフステージの変化を考えると、自身の体の状態を知るために受診を検討しても良いでしょう。

レディースドックの検査には、主に以下の項目があります(医療機関により検査項目が異なります)。

  • 法定健診:身長、体重、血液検査などの一般的な検査
  • 乳房視触診:乳房を視診、触診することでしこりなどがないかを調べる
  • マンモグラフィー(乳房X線撮影検査):X線を用いて乳房のしこりの有無や大きさ、場所などを調べる
  • 乳腺エコー検査(乳腺超音波検査):超音波を用いて乳房のしこりの有無や腫瘍の良性・悪性などを調べる
  • 子宮体がん検査(子宮体部細胞診):子宮体部(胎児を育てる部分)の細胞を採取し、子宮体がんがないかを調べる
  • 子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診):子宮頸部(産道となる部分の一部)の細胞を採取し、子宮頸がんがないかを調べる
  • 経腟エコー検査(経腟超音波検査):膣から器具を挿入し、子宮や卵巣の異常がないかを調べる

妊娠を考える方は血液検査や経腟エコー検査を

たとえば妊娠を希望する場合、血液検査や経腟エコー検査などを受けると良いでしょう。

血液検査では、月経期の脳下垂体ホルモンの値や、血糖値、甲状腺に関するホルモンの値などを調べ、妊孕性(にんようせい・妊娠できる能力)に問題がないかを検査します。

また、経腟エコー検査では、子宮や卵巣の状態を診て、子宮筋腫や子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、妊娠を阻害する要因がないかを調べます。

女性特有のがんリスクを検査する手段もさまざま

女性特有のがんが気になる場合には、それぞれに適した検査を受診できます。

乳がんが気になる方であれば「乳房視触診」「マンモグラフィー(乳房X線撮影検査)」「乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)」、子宮頚がんであれば「子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診)」、卵巣がんであれば「経腟エコー検査(経腟超音波検査)」「CT・MRI検査」などを検討するとよいでしょう。

調べたいがんリスク 検査内容
乳がん ・乳房視触診
・マンモグラフィー(乳房X線撮影検査)
・乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)
子宮がん ・子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診)
卵巣がん ・経腟エコー検査(経腟超音波検査)
・CT・MRI検査

医療機関により検査項目は異なるものの、上記で述べた各検査はレディースドックに含まれています。女性のからだ考えたレディースドックであれば、女性特有の病気をまとめて検査できるのが大きなメリットです。中にはレディースデーや女性専用フロアを設けていたり、女性医師や女性技師が担当する場合もあります。

病気の発症リスクや年齢を考えると、20代での受診は決して早すぎるものではありません。ご自身のライフステージの変化を見据え、まずはレディースドックの受診を検討してみましょう。

続いては、レディースドックの検査内容や受診費用を見ていきます。

レディースドックの検査費用は3〜10万円程度

人間ドックの費用

レディースドックの費用は施設により異なりますが、3万円程度で受けられるものから10万円近くになるものまで様々です。

乳がん検診:およそ1万円

乳がん検診は、主に「乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)」と「マンモグラフィー(乳房X線撮影検査)」によって、乳がんを発見するための検査です。

乳腺が発達し密度の高い40歳未満では乳腺エコー検査を、そうでない40歳以上ではマンモグラフィーを行うことが一般的です。もちろん、両方の検査を行うこともあります。

費用は受診先により異なりますが、マンモグラフィーと乳腺エコー検査合わせておよそ1万円です。

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子宮頸がん検診:およそ数千円

子宮頸がん検診は、子宮頸がんを見つけるための検査です。日本でも、20歳から受診を推奨されています。

主に、子宮頸部の粘膜をこすって細胞を採取することでがん細胞がないかを調べる「子宮頸部細胞診」、子宮頸がんのリスクとなるHPVの感染有無を調べる「HPV検査」、「コルポスコープ」と呼ばれる内視鏡検査が行われます。

費用はそれぞれ数千円程度です。

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子宮頸がん検診の検査内容や費用について|がん予防のために早期発見が大切

まとめ:人間ドックを活用し20代でも健康状態の把握を

20代からの人間ドック

人間ドックでは健康診断とは違い、より細かく、幅広い検査を行うことができます。20代であっても、健康が気になる場合は一度受診を検討してみてもよいでしょう。

特に妊娠・出産といった女性ならではのライフステージの変化を抱える若い女性も、乳がん、子宮がんにかかる可能性があります。婦人検診や、人間ドックとセットになったレディースドックを受けることで、自身の体の状態を把握し、日々の健康管理に役立てることができます

毎日を健やかに過ごすためにも、人間ドックを通じて自身の体の状態に目を向けてみてはいかがでしょうか?

レディースドックの受診有無や、具体的な検査項目は医療機関によって異なります。医療機関の検索機能を使うことで、エリアごとに施設を探せるだけでなく、検査項目や受診費用を比較しながらWeb予約までできるのでおすすめです。

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