心臓ドック
心エコーとは|痛みを伴わず妊婦さん・胎児にも無害の心臓超音波検査
この記事の監修ドクター
螢田診療所 院長
小澤 優樹
【略歴】
1980年 昭和大学医学部 卒業
【資格】
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本超音波医学会認定 超音波専門医
「理由もなくドキドキする」「階段を昇ると息切れする」「足のむくみがひどい」など、日常生活の中で血液の流れが悪いと感じることはないでしょうか?このような症状が出ている時は、心臓に何かしらの異常が紛れている恐れがあります。心臓の検査には、心電図・CT・MRIなどいろいろな方法がありますが、検査時の痛みがない「心エコー検査」という方法もあります。どのような検査方法なのか、わかる疾患や検査の流れ、費用などを詳しく解説します。
心エコー検査について
心エコー検査は、心臓の構造上の異常や心機能を調べるために行う検査です。心臓の病気には、動脈硬化が原因で引き起こる「虚血性心疾患」をはじめとして、急に発症・悪化する病気も珍しくありません。また、明らかに損傷しているなど器質的な病変が確認できなくても、動悸や胸の痛み、違和感といった症状が現れる「心臓神経症」と呼ばれる疾患もあります。大きな病気へと発展する前に対処できるよう、動悸や息切れ、むくみなどの気になる症状がある人におすすめするのが心エコー検査です。
心エコー検査の概要・検査目的
心エコー検査では、超音波を用いて心臓の状態をチェックします。プローブと呼ばれる探触子から超音波を発信し、心室や心房の大きさ、壁の厚さ、心臓の動き、そして血液の流れなどを、跳ね返ってくる反射波から画像化することで心臓の状態が正常かどうかを診断します。
心エコーでわかる疾患
心臓の形や働きを確認することで、心肥大・心拡大・心筋梗塞、弁膜症、心不全などの存在を調べます。
心臓は弱ってくると、その機能を補うために大きくなっていきます。そして形もボールのように丸く変形してくるため、心臓の大きさや壁の厚さを調べることはとても重要です。
また、心臓の働きに異常がある場合も、心筋梗塞を引き起こす血管の詰まり(動脈硬化)や収縮運動の弱い場所がどこにあるのかを特定することができます。そして血流からは、弁膜症や先天性心疾患の存在を調べることができるなど、心エコーからは多くの心疾患の診断や心機能をみることができます。
体への負担がない、やさしい検査
エコー検査は、体の表面にプローブをあてて行う検査なので、検査自体で痛みを伴うことはありません。また、放射線を用いるX線検査や、造影剤を投与して行うCT・MRI検査は、妊婦中もしくは妊娠の可能性がある方、高齢者・幼児には影響が大きく不向きですが、エコー検査であれば体へ負担をかけることなく受けられます。年齢を問わず、どのような方にも活用しやすい検査方法として推奨されることも多いです。
検査方法と費用感
女性や高齢者でもやさしく受けられるエコー検査ですが、検査にはどの程度の費用がかかるのでしょうか。心エコー検査の具体的な検査方法とあわせて解説します。
心エコー検査の流れと所要時間
心エコー検査はベッドの上に仰向けとなり、肋骨の間にプローブをあてて超音波による画像を取得していきます。検査にかかる時間は大体20分程度ですが、その後医師から診断結果を説明される場合には、診察の時間がかかることも覚えておきましょう。
【一般的な検査フロー】
- 受付後、問診票を記入。
- 検査室で脱衣などの準備を行いベッドへ横になる。
- エコー検査を行う(検査時間:約20分)
- 検査結果を医師が診断し、結果説明(今後の治療方針などの相談を含む)
- 受付にて会計(場合によっては次回の診療予約など)
費用感
検査費用は受診する医療機関や検査コースなどで異なります。
【心エコー検査にかかる費用の目安】
受診方法 | 費用の目安 |
---|---|
心エコー検査のみ受診 | 約9,000円 ※保険適用の場合は1,000円~3,000円程度 |
人間ドック | 約20,000円~50,000円 |
人間ドックにオプションとして追加 | 約5,000円~10,000円 |
心臓ドック | 約50,000円~150,000円 |
上半身は着衣なし|気になる場合は事前に相談を
エコー検査は、医師ではなく臨床検査技師が対応する検査です。そして心エコーは心臓部分を調べる検査なので、上半身のみ洋服を脱いで検査を行います。医療機関によっては男性技師が女性受診者の検査を対応することもあるため、検査とは言え胸元を見られるのに抵抗がある方は、事前に医療機関へ確認・相談をしておくと良いでしょう。
最近では受診する医療機関によって、胸元にタオルをかけるなどの配慮をして検査を行ってくれる施設もあります。他にも、検査項目に心エコーが含まれるレディースドックでは、対応技師は女性であることが多いです。心エコー検査を受診する際には、検査内容への配慮についても医療機関やコースを決めるポイントとして判断してみましょう。
「心臓ドック」なら細部まで検査対応
心エコー検査を受診するには、以下の方法があります。
- 医療機関で心エコーのみ受診
- 心エコーが検査項目に含まれた人間ドックを受診
- 通常の人間ドックに心エコーをオプションで追加
- 心疾患を専門的に調べる「心臓ドック」を受診
心エコー検査のみを単体で受診することもできますが、エコーだけでは今ある症状の原因が特定されないケースも多くあります。複合的な要因で症状が現れている時には、複数の検査で総合的な診断を行うことが重要です。
心疾患リスクを調べるための専門の検診として「心臓ドック」を設定している医療機関もあります。心臓ドックは、エコーだけでなく冠動脈CTやMRI、心電図(負荷心電図を含む)、頸動脈エコー検査などを組み合わせ、循環器全体を詳しくチェックする検診です。どのような検査項目を組み合わせるかは医療機関によって異なるため、内容をよく確かめた上でコースを選ぶようにしましょう。
まとめ|妊婦さんにもOK!体への負担がない心エコー検査
心エコー検査は受診によるリスクが少ない検査方法です。特にこれから妊娠を控えている女性にとっては、被ばくのデメリットがないため、安心して受けやすい検査と言えるでしょう。動悸、息切れ、むくみなどの自覚症状がある方は、今後の心疾患リスクを軽減するためにも一度受診してみることをおすすめします。