がん検診
乳がん検診で石灰化が見つかった! 正しく知っておきたい乳がんと石灰化の関係
この記事の監修ドクター
【略歴】
1997年 筑波大学医学専門学群 卒業
2001年 筑波大学消化器外科、大学病院及び関連病 勤務
2003年 筑波大学医学研究科 卒業
2019年 六本木ブレストレディースクリニック 院長就任
【資格】
日本外科学会認定 外科専門医
日本乳癌学会認定 乳腺専門医
日本超音波医学会認定 超音波専門医
乳がん検診で石灰化が見つかると「もしかして乳がん?」と不安になりますよね。しかし良性石灰化の場合も多く、必ずしも悪性石灰化だとは限りません。乳がんかどうかはその後、精密検査を実施して診断されます。
ここでは、石灰化とはどのような状態なのかを詳しく解説します。
石灰化は乳がんなの? 石灰化と乳がんの関係
乳がん検診での「石灰化」とは、乳腺の中にカルシウムが沈着した状態を指します。この症状は、女性ホルモンであるエストロゲンが影響して起こる乳腺症や、細胞が増殖して起こる線維腺腫などの良性の場合でも発生します。
石灰化が良性のものであれば、がん化する心配はありません。しかし初期の乳がんの場合、がん細胞が増殖する過程の分泌物などが石灰化することがあるため、石灰化が良性なのか悪性なのかは精密検査する必要があります。
つまり、たとえ乳がん検診で「石灰化」を指摘されたとしても、必ずしも「乳がんが発症している」ということではありません。ですが、悪性である可能性を考慮して生検などの検査を行うことはあります。
乳がんになりやすい人の傾向はある?
乳がん発症にはさまざまな要因が関連していますが、乳がんの約1~3割に家族歴(遺伝)が深く関わっているといわれています。
また、エストロゲンの分泌が乳がん発症に影響していることもわかっています。規則正しい生活や適度な運動でホルモンバランスを整えることは大切といえます。そして経口避妊薬(ピル)や更年期のホルモン補充療法を行っている方は定期的な乳がん検診がすすめられます。
ほかにも、食の欧米化や肥満、女性の晩婚化、出産の高齢化など、生活スタイルの変化も乳がんの発症・増加の一因と考えられています。2020年5月に公開された「最新がん統計」では、2018年にがんで死亡した女性は154,959人、その中で乳がんの死亡者数は14,653人でした。がん部位別の死亡者数を、女性全体でみると乳房は5位ですが、年齢別にみると40歳~64歳では乳がんが死因のトップになっています。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」「最新がん統計」
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乳がん検診で石灰化が見つかったときはどうする?
乳がんの早期発見には定期的な検診がもっとも重要です。万が一、検診で石灰化が見つかった場合、石灰化が良性か悪性かを診断するための二次検査を実施します。マンモグラフィや超音波エコー検査などの画像診断や生検を行い、乳がんと診断された場合には、さらに専門的な検査を行ったうえで治療方針を決定します。
また、検診の場で判断がつかない場合、経過観察として約半年後に再検査をするよう指示があることがあります。変化の有無を確認するためです。乳がん検診後、精密検査が必要なのか経過観察かは、医師の指示に従いましょう。
まとめ|石灰化のすべてが乳がんではないので、まずは精密検査を
乳がん検診で石灰化が見つかっても、必ずしも悪性とは限りません。良性石灰化の場合はがん化することもないので、あまり心配しすぎないようにしてください。乳がんは早期発見することで乳房を温存したり、治療の方法を選択することもできます。定期的に検診を受け、石灰化が見つかっても早めに対処できることが重要です。
乳がん検診について不安なことがある場合は、受診予定の医療機関に事前に問い合わせをしておくと良いでしょう。
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