がん検診
胸のつかえ・喉の違和感|原因は食道がん?疑わしい3つの疾患を探る
食事をしている途中や食べた直後、なんとなく食べ物がうまく胃に運ばれていないような、胸がつかえているように感じたことはありませんか? 喉や食道の違和感はストレスや不規則な生活習慣からくるちょっとした「悲鳴」の可能性があります。もしかしたら食道がんの恐れも!?
まずは体からのサインをチェックしつつ、気になる病気の不安についても解説していきます。
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実はあなたも?「胸のつかえ」が気になる人の共通項
胸がつかえた感じや違和感を訴える人が増えています。食事をした後だけに限らず、仕事で忙しい日々が続く時、子育てや家事に追われている時などに感じる人もいるようです
痛みがなかったり、少し時間が経つと気にならなくなる場合、つい放置してしまいがちなのですが、もしかしたら気になる病気の前触れかもしれません。まずは自分でしっかり観察してみましょう。
こんな体験はありませんか?
「胸のつかえ」といっても感じ方は人それぞれですが、以下のように感じる方が多いようです。
- おもに食後、食道で食べ物が詰まっているような感じ
- たまに胸が圧迫されているようにギュっと苦しくなる
- 喉に何かがくっついているような違和感
- みぞおちがたまに痛くなる
- ゲップをすると食べたものが少し戻ってくるような感じ
この状況が続く場合は、体が何らかの悲鳴をあげているサインです。少し自分のことを気にかけてあげたいところですが、具体的に何に注意すればよいのでしょうか。上記のような状況になりやすい人の特徴をご紹介します。
起こりやすいのはこんな人
以下のような習慣はありませんか?「胸のつかえ」を感じる人に多い傾向をまとめてみました。普段の生活のなかで気を付けられることばかりですので、参考にしてください。
食事はバランスよく、飲酒はほどほどに、そして出来る限り禁煙を心がけたほうが良いでしょう。また適度な運動も取り入れることをおすすめします。ほかにも、前かがみの姿勢が多い(背中が曲がっている高齢者も該当します)、腹部を締め付ける服や下着など、胸やお腹に負担がかかるケースにも十分注意してください。
考えられる要因1|ストレスフルな生活が喉や胃の不快感を導く
具体的に「何かの病気」なのではなく、日頃の悩みや不安、緊張感がストレスとなって体を苦しめているかもしれません。ストレスがたまることで自律神経が乱れ、胃酸の分泌が過剰となったり、胃の粘膜の修復力が弱まることがあります。
その結果、胸やけや膨満感(ぼうまんかん:胃が重苦しい感じ)、吐き気などにつながる恐れがありますので、ストレスを感じる日々が続くときには注意が必要です。
仕事や家事に根詰めすぎないようにメリハリをつける、適度に体を動かしてリフレッシュすることで、胸のつかえた感じに改善がみられるかもしれません。
考えられる要因2|増加中の現代病!?「胃食道逆流症」
「胃食道逆流症」とは、胃酸が食道へ逆流することにより胸やけや呑酸(どんさん:酸っぱい液体が胃から口のほうへ上がってくる)といった不快さを感じる病気です。食道粘膜のただれが確認されると「逆流性食道炎」と呼ばれますが、ただれがない場合も含めて胃食道逆流症(GERD)と呼ばれます。
欧米と比較して日本では頻度の低い病気と考えられてきましたが、近年では食生活の欧米化などの理由から、罹患数は成人全体の10~20%に達していると推測されています。
日常生活で注意すること|QOLを向上させよう
胃食道逆流症の人は健康な人に比べ、QOL(Quality of life=クオリティオブライフ:生活の質)が低下しているといわれています。具体的に生活習慣の面では、前かがみの姿勢、腹部の締め付け、肥満、喫煙は避けたほうが良いでしょう。食事面では、食べ過ぎ、就寝直前に食べること、油もの・甘いものの多い食事、アルコール、チョコレートなどを極力避けてください。
食事の時間が楽しめなくなったり、デスクワークがはかどらなくなったりする前に、まずは毎日の生活を見直してみましょう。
考えられる要因3|もしかしたら「食道がん」の恐れあり!?
食道は口から食べた食物を胃に送る働きをする器官ですが、食道がんはその内側をおおっている粘膜の表面から発生します。粘膜に発生したがんは進行すると深層まで広がり、気管や大動脈へ、またリンパ液や血液の流れにのって肺や肝臓など他の臓器へ転移することもあります。
食道がんの症状|進行するとどうなる?
早期の食道がんは自覚症状がほとんどありませんが、進行するにつれて以下のような症状があらわれます。
- 食べ物を飲み込んだときに胸の奥がチクチク痛む、しみるような感じ
- 飲食物がつかえやすくなる、やわらかい食べ物しか通りにくい
- 胸の奥や背中が痛む、咳が出る
食道がんが発生する主な要因は喫煙と飲酒であることがわかっています。普段から禁煙や節度のある飲酒を心がけることが大切です。このような症状は一時的に消えることもありますが、続く場合には注意しましょう。
自覚症状のない早期の食道がんを発見するためには、検診や人間ドックを受診するしかありません。不安な状況が続く前に検診を受けてみることをおすすめします。
「胸のつかえ」が気になったら任意型検診を検討
胸のつかえや違和感があったとき、放置してしまうのは危険です。万が一、食道がんだった場合は他の部位への転移も考えられます。食道がんではないことを確認するためにも、早めに人間ドックなどの任意型検診を受けることが望ましいでしょう。2種類の検査がありますので、それぞれの特徴を明記します。
食道がんリスクを調べる検査※
検査種類 | 概要 |
---|---|
上部(食道)内視鏡検査 | 胃粘膜の観察と共に実施し食道の粘膜の色や凹凸を観察。異常な部分の組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認する。 早期の食道がんの90%が内視鏡検査で発見される。 |
上部消化管造影検査 (バリウム食道透視検査) |
バリウムが食道を通過するところをX線で撮影して確認する。一般的な胃がん検診では胃を重点に調査するため、事前に医師へ伝達が必要。 |
※一般的な人間ドックや検診では「食道がん検診」という検査項目は設定されていないことが多いです。「胃がん検診」「胃内視鏡検査」など、胃の検診を実施している施設にて相談してください。
食道がんが確定された場合は、その後の治療方針を決めるためにCT検査やMRI検査、PET検査などが実施されます。
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まとめ:不安解消・早期発見のために検診をおすすめします
胸のつかえが、もしかしたら食道がんの恐れがあるとすればとても不安です。早期の食道がんは検診で発見できる可能性が高いですが、厚生労働省にて定められている「がん検診実施のための指針」では、食道がんの検査はありません。そのため市区町村など自治体による対策型健診ではなく、人間ドックなどの任意型検診が有用です。
まずは生活習慣を見直し、そのうえで予防の観点から検診を検討することをおすすめします。